はっとり浩之オフィシャルブログ

2013年4月12日

加川良の『南行きハイウェイ』

カテゴリー: 未分類 — hattori @ 1:37 AM

加川良の1976年の作品「南行きハイウェイ」を久しぶりに聞いて、とても感動したので、書きます。
「南行きハイウェイ」は、加川が中川イサト・石田長生と3人でメンフィスに行って、ハイ・サウンドの本拠地のロイヤル・レコーディング・スタジオで録音したもので、まぁ、忌野清志郎の「夢介」みたいな作品です。
昔聴いたときはあんまり好きじゃなかったんだけど、今聴くと、なかなか素敵な作品に感じられました。
内容的にはいつもの加川良とあんまり変わりがないんですけど、そこが逆にすごいんですよね。
一曲だけ「アラバマ」っていういかにもアメリカを意識した曲が入ってるけど、あとは「高知」って曲があったり、「ホームシック・ブルース」っていう、いかにも関西フォークっぽいトーキングブルースがあって、吉祥寺とか高円寺とかが出てきたりと、アメリカ録音の意味ないじゃん的ローカルネタのオンパレード。
そこが逆に素晴らしいのです。
ふつう、わざわざ日本人がアメリカに行ったら、やたらとアメリカを意識したり、下手な英語で歌ったりしてしまいそうだけど、全然そんなことがない。
憧れのアメリカで、あえていつも通りのフォークをやる!っていう姿勢が最高にかっこいいのです。
わざわざメンフィスまで行っといて、歌う内容は「高知」ですよ!?
懐が深い!
カッコいい!!

まぁ、友部正人もニューヨークレコーディングの「夢がかなう10月」で神戸のことを歌ってたけど、神戸って港町だし、国際都市って感じがしないでもないからあんまり凄さを感じなかったんですけれど、それに比べると、メンフィスでわざわざ高知を歌うのは、なんだか物怖じしない感じがして格好いいですよね。
最近は、某社の社内公用語が英語になったりして、「おぃおぃ、まずは日本語だろ。日本語すらちゃんと使えない人が増えてきてる世の中じゃないのかよ。なにを先走ってんだよ。そりゃ、英語に慣れるのは必要だけど、状況が違うだろ。まず、日本語の本質をとらえるレベル上げが必要なんじゃねーの?今の世の中よぉ」と忸怩たる思いがしないでもないのですが、加川の良さんのような堂々たる態度を見ると、うれしくなります。

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