林光が死にましたね。
残念だ。
林光ってのは、現代音楽作曲家で、新藤監督の映画作品の音楽とかも担当していた人です。
日経で連載持っていたころもあったんじゃないかな?
新藤監督の前作「花は散れども」で「今回は時間の都合で音楽担当できなかった。次回は一緒にやりたい」と言っていて、去年の新作「一枚のハガキ」で、見事な音楽を作っていた。
最近、新藤監督の新作を待つのが楽しみだったので、次はもう絶対に林光とのコラボレーションではないのだなと思うと悲しい。
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年末に「モア」と「けいおん!」を見に行ってきたので、感想。
偶然にもどっちもネタがかぶっていてびっくりした。
二つとも卒業旅行物の映画なんだね。
で、全然逆の展開になる。
「けいおん!」のほうは、軽音楽部の部員たちがロンドンに修学旅行に行って、背伸びする必要なんてないってことを実感して、日本帰ってきて後輩のために一曲作曲して卒業するって話。こう、若いうちは何でもできそうな気がしてたのが、だんだん凡人になっていく(凡人ってことを理解していく?)過程みたいなのがにじみ出てて良かった。「スウィングガール」というよりも「リンダリンダ」な方向性の演出も渋くてよかった。
一方「モア」は、真面目な大学生が卒業旅行代わりの一人旅でどんどん羽目を外して、美女にたぶらかされてドラッグに手を出して、とうとう過剰摂取で死んじゃうという内容。
なかなかすごかったので、詳しく書くと、勉強一筋だった大学生が「これから就職したらもうつまんない人生を歩むだけだろうし、卒業前に一人旅でもするか」と意気込んで単身パリへ。怪しい地下クラブで賭博師と知り合い、一緒にピッキングとかしてるうちに、謎の美女と知り合う。美女は意味深なセリフを残してスペインのイビサ島へ旅立つ。美女を追って自分もイビサへ向かった主人公は、美女がドラック中毒であり、地元のマフィア組織とかかわっていることを知る。美女をドラッグ付から救おうと奮闘するが、徐々に自分もドラッグの魅力にはまってしまい、二人してドラッグ漬けの日々に。何とか更生しようともがくが、かなわず、ある日オーヴァードーズで死んでしまうのだ。
修学旅行一つとっても、「行って戻ってこれる人」と「行って戻ってこれない人」がいるのだなぁと痛感。
どっちも見ごたえのある良品でした。
とくに、「モア」のほうは、音楽がピンクフロイドというだけで見に行ったんだけど、予想外の大傑作。
ドラッグから抜けれない様子がじっくりと描かれていて、「クスリ、絶対、ダメ」ってかんじの教養映画として、高校生とかに学校で見せてもいいような作品でした。
いやぁ、それにしても、「モア」の主人公の「明日なんて考えねぇぜ」ってかんじの自傷的な生き方とか、寒々しい街の雰囲気とか、ヒッチハイクでパリまで行って、さらにイビサまで飛んじゃうところとか、この、ガツンガツン突き進んじゃう感じとか「綺麗ごとやおためごかしなんて通用しねぇんだよ、ピース」ってな感じが、60年代後半から70年代前半までのカウンターカルチャーって感じで、最高に良かった。
あ、「けいおん!」は、友達と3人で行ったので、フィルム一枚もらえました。みんなでワシントンにデモ行進する場面……ではなく、ロンドンの空港に降り立った場面でした。後ろの方でキース・リチャードがあくびをしているのが、目を凝らせば見えます。
ピース。
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次は、「土方、移民、ヒップホップ」のうたい文句で話題騒然の「サウダージ」を見に行く予定です。
予告編見たんだけど、めっちゃおもしろそうだった。
かなり各所で話題になってるので(?)、見ておいて時代に取り残されないようにしよぉっと。