このところ、TPPの是非について井戸端的に話し合う機会が2度ありました。
一度は、関西大学の教授。もう一度は、守口市の先輩議員さん。
みなさんそれぞれの根拠を持って、賛成・反対を表明されている。
僕は、この件については、どちらかと言えば反対である。
というのも、なんだか、小泉内閣のころの規制緩和と似た匂いがするからだ。
規制緩和の結果、日本の小さな企業は虫の息にされてしまい、すっかりと大企業やアメリカの企業に食い荒らされてしまったのだ、という話をいろんなところで耳にする。
これと似たような話が、バブルのころの貿易摩擦と日本政府がたてたその対策。
こうして、類似性を並べてみると、なんだか、80年代以降、愛国者面した偽物が、政治の世界の裏側を徘徊しているようにも感じられてくるけれど、検証もなくそんなことを言うとなんだかピンチョンの小説みたいになるのでやめておこう。
とりあえず、民主党の政策は、鳩山から管に代わった時点で、結構大きく転換している。
「平成の開国」とか管は言っていたけれど、ようするに財政規律を重んじる、自民党末期とあんまり変わらない路線に動いて行ったんだろうね。
TPPもその先に鎮座しているような気がする。
農家の二世が農業を続けてくれなくて、今の世代が引退したら、この先どうすんの?農業成り立つの?っていう恐怖は、僕も感じるけど、それだけで論じられる問題じゃないような気がする。
少なくとも、僕がいえるのは、次の二点だ。
1、TPPは規制緩和と似ている
2、僕は、規制緩和などの小泉改革は、結局のこの国を疲弊させたと思っている
※
もう一つ、TPPに賛成できなくなった理由がある。
それは、ユニクロの社長のTPP賛成表明だ。
その口調が気に食わない。
気に食わないというか、おかしい。
読んだ人ならわかると思うけど、『TPPに参加しないとえらいことになっちゃいますよ』というような口調。
「参加しなかったりちゅうちょしたりしていると、それで我々の国の将来は終わるぐらいだ」と言ったらしい。
でも、ちょっと待ってくれ。
そこには、『いったい何がどうえらいことになるのか』が一切触れられていない。
どういうふうに何が起こって、我々の国の将来が終わるのでしょう?
教えてよ。
これは、完全な扇動口調である。
誰かが、こういう口調で語りだしたら、その対象のことは、信用しないほうが良い。
そもそも、記事を書いてる人間も悪い。
もっと長い演説だったかもしれない。
でも、こんな部分とあとちょっとの前後だけを切り取られたら、全然内容が伝わらない。
「将来が終わる」という文章のインパクトだけが独り歩きしてしまう。
※
だがしかし、最近多いのである、この口調が。
考えてみてください。
最近、TPPにしろ、なんにしろ、政治の場で、「名称だけが独り歩き」でも「それが何をする政策なのか、メリット・デメリットすら知らない」という状況、ありませんか。
「改革しないと、えらいことになりますよ」
「この政策は、国家の一大事なんです」
「今ここで待ったなしでやらなければ、何も動かないんです」
こういうの、もよく耳にしませんか。
国会議員をはじめとして、いろんな政治家が、こんなことばっかり言っています(一方で地味に渋く、ちゃんと仕事をこなしている人もいます)。
僕は、聴くごとに疑問を感じます。
だって、何を、どうやるのか、その結果どうなるのかが、一切ないのだもの。
言ってる人は、楽だと思いますよ。
「とにかく大変だ!」を、言葉を変えてコピー・アンド・ペーストし続ければいいだけですから。
そしてそういう、血のかよっていない大量生産の言葉が、本当の改革につながるはずがない。
最近僕の中でブームの、会社の仕事に例えるシリーズ。
あなたの会社に毎日「うちの会社は大変だ」「俺は毎日すっげー仕事をしてる」「うちの会社も変わらなきゃ」とかばっかり言ってて手が動いてない社員と、毎日「淡々と仕事をするだけだよ、それが一番、社のためなんだ」と黙って黙々と仕事してる社員がいるとします。
どっちが役に立ちますか?
※
かつて、偉大な詩人の田村隆一が、一言の言葉を発することの困難について、詩を書いていました。
心から染み出る言葉というのは、本当に困難を伴うのです。
そこには、まるで山水画のように、空白と沈黙の重みも、伴います。
これからの時代に大切なのは、その言葉が、どこかで聴いた言葉の繰り返しではないかどうか吟味する力。
そして、「具体的な検証と理由を持って発せられたかどうか」を吟味できる力ではないでしょうか。
いろんな場面で、よ~く見てみてください。
具体的な検証や過去の事実を無視した主張というのは、ぜったいに「話したくない空白の部分」がありますから。
自分の都合のいいように、都合の悪い部分を抜いた文章というのは、よく読めばわかります。
それは、とても短くして(ワンフレーズ)深い理由に立ち入らないか、事実を並べなおして都合のいいようにつくりかえてあります。
だから、とても歯切れがいいか、なんだかありそうだけどよくわからん文章か、のどちらかになります。
一方で、きっちりとした事実と検証を備えている文章には隙がなく、読めば全部が明確にわかる、論文的な文章になります。
だって隠さず全部言えるんだもん。
そういうのに、気が付く力というのが、これからの社会を生き抜くために必要だと思います。
ご無沙汰してます。私もTPPは反対です。
↓の動画がわかりやすいので確認頂ければ。※特に出てくる人の信者というわけではないですが。
私も先生の意見に同感で規制緩和のもっとも酷い最終形だと考えてます。
要するに関税撤廃などではなく、日本のルールをアメリカの良いように作り変える交渉だと考えています。
構造改革・規制緩和もアメリカのマネタリストかぶれが日本のルールを良いように作り変えたものでしたよね。
今回はそれが医療や労働力、政府調達にまで及ぶものです。
政府調達に限って言えば自治体の入札に他国資本(主にアメリカ)が参入するとして仕様書や説明会をまともに開けるのかもそもそも疑問ですが、
仮に開いたとして他国資本がとんでもない安値で落札し、公共インフラの整備などを握られたらどうするのでしょう?
賛成派・反対派の意見をフラットに聞いてみましたが、賛成派の意見にはなんら具体性がなく信憑性に欠けるのも私が反対する根拠です。
どうぞ宜しくお願い致します。
http://www.youtube.com/watch?v=Z1UOqFfOnBo&feature=related
コメント by のむさん — 2011年11月16日 @ 2:16 AM
のむさんからコメントが付くとは思いませんでした。
動画の人は、TPP亡国論を書いた人ですかね。
そちらは、音声作品の調子はいかが?
コメント by hattori — 2011年11月18日 @ 12:47 PM
そうですね。TPP亡国論の方です。
音声作品は順調です。
これ以上は私的な内容になってしまうのでメールor電話で。
コメント by のむさん — 2011年11月21日 @ 12:09 PM
了解っす。ぜひ電話してチョ。
コメント by hattori — 2011年11月22日 @ 12:55 AM