はっとり浩之オフィシャルブログ

2011年9月2日

野田氏を巡る断章、その他の話題

カテゴリー: 未分類 — hattori @ 1:41 AM

野田氏が新しい総理になった。

前原氏ではなく、野田氏が選ばれたあたり、イメージや見た目重視の政治からの転換が少しでも行われるであろうかとうれしくなる。

一方で、地味といわれる野田氏がこのタイミングで登場したのは、なんだか、小泉・安倍の次に福田氏が登場した自民党末期の流れにも似ているな、という懸念も感じる。

小泉・安倍という主張の強いタイプに疲れ果てていた僕にとって、当時、福田首相の登場は、自浄作用的に映ってありがたかったが、期待むなしく、結局一年で消え、たんなる「つなぎ」になってしまった。

野田氏は、政権の自浄作用となるのか、それとも単なる「つなぎ」になるのであろうか。

とりあえず、同じ轍は踏まないことを期待したい。

ところで、ぼく自身、野田氏のことを「地味」だと書いたが、どうにもこの、政治家を地味だ・地味じゃないと勝手に判断する気風に、憤りを感じている。

政治家の仕事というのは、なかなか国民の皆様には見えにくいものである。

地味だといわれている人が、実はバリバリと見えないところで仕事をしている可能性はいくらでもある。

結局のところ、メディアや井戸端で語られる地味・地味でないの基準は、「どれだけメディアで目立っているか」「どれだけ宣伝行為をしているか」に過ぎないのではないのか。

とすれば、我々は、あまりにも無批判に、「自分が見やすい位置から見た印象」に乗りかかりすぎている。

この憤りは、僕が凝り性だから感じるのかもしれない。

僕は例えば、中古レコード屋に数時間でも居座って、知られざるかつての名盤などを発掘するのが趣味である。

そんな僕の感性からすれば、メディアが垂れ流す情報を鵜呑みにして、あるいは、自分が動かずに目に入ってきたものだけを情報だと思い込んで、他人を評論するのは、あまりにも馬鹿げている。

古い時代の探偵ではないが、「動くこと。暗中模索しながら、足を動かし、自分の視点で、情報を得ること」。

そうでなくては、他者を批評することは、できないはずだ。

とすれば、世の中に流布された政治家像……「だれだれは売国奴だ、だれだれは地味だ、だれだれは頑張っている」などという単純な言説……は、所詮は、自分の目で見た現実に基づくものではなく、どこかから垂れ流された情報の流用に過ぎないという事実に、即座に気が付くはずであろう。

そんなわけで、ぼくは、そうそう政治家の批判はしないのである。

だって、国会議員となんて、会う機会ないんだから。

しかし、一方で、野田氏を巡る報道で、「どじょう」だの、「土臭い」だのという言葉が聞けることは、単純にうれしい。

皆様ご存知だと思うけど、僕は、土とか泥とか鼻水とか、そういうざらっとした単語が好きなのである。

土埃のする、カントリーとアメリカンフォークミュージックを愛し、デルタの匂いのする古いニューオリンズジャズのレコードを収集してきた。

洗練されたローリング・ストーンズよりも、CSNのほうが好きだし、ビートルズよりもボブ・ディランが好きだ。

ディキシーやミシシッピーという言葉を聞くだけで興奮する。

そんな俺だから、土臭い概念が、世の中に受け入れられていく機会になるならば、これはうれしいことだ。

そんな俺が、どうして学生時代、洗練さの象徴ともいえるスティーリー・ダン(70年代のフュージョンっぽいロックバンド)に夢中になったのだろう?とふと思って、久しぶりに「幻想の摩天楼」(1975年発表の代表作)をターンンテーブルに乗せた。

と、最後のタイトル曲に、その理由らしきものを感じる。

そうか、そうだった。

そうなのだ。

スティーリー・ダンのほとんどのアルバムには、長尺の叙事スタイルの曲が、一つ入っている。

例えば、「幻想の摩天楼」、「AJA」、「バビロン・シスターズ」、「ウェスト・オブ・ハリウッド」、「エブリシング・マスト・ゴー」。

これらの楽曲の特徴は、「メロディーが比較的単純であり、それが幾度も繰り返されることで長尺である」「詩にストーリー展開がある」である。

それは、言い換えれば、例えばボブ・ディランの「廃墟の町」や「ローランドの悲しい目の女」といった、フォーク作品のスタイルと酷似している。

フォーク音楽が持つ、物語開示性(「これこれこういうことがありました」)が、おしゃれでスタイリッシュだと思われていたスティーリー・ダンの音楽の中に、しっかりの根付いているのである。

僕はきっと、そんなところに惹かれたのでしょう。

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