ラジオから、クリス･レアの歌声が流れている。
久しぶりにこの人の歌を聴いた。
しばらく、新作を出していないのではないだろうか。
懐かしい、「Road to hell part2」が聴こえてきて、その内容が、現代社会への警告としてぴったりになっていることに気がつく。
資本主義、メディアに踊らされる人たちを、批判した歌だ。
ちょっと、レナード･コーエンの「ファースト･ウィ･テイク･マンハッタン」を思わせなくもない。
※
気がつくと
川辺にたたずんでいた
かつては
すみやかに流れていたはずの
この川は
今はもう
濁って、上手く流れない
道の隅っこで
年老いた女が
叫んでいるのも見た
人間の
常識と理性の判断力が
次から次へと
鈍くなっていった
情報は
軽やかに
世間を駆け巡るが
それに人々は
翻弄されているだけ
幸せを
探しすぎて
次に来る何かばかり
求めている
資本主義の
肥大した矛盾……
私は今夜
長い長いハイウェイを
車で飛ばした
行き着きたいところが
あったはずだが、
神よ
途中で気づいた
これは
ハイウェイじゃない
ただの
地獄への道だ
神よ
これはテクノロジーの
恩恵ではない
ただの
地獄への道だ
（ロード･トゥ･ヘル パート２）
※
この数年間
いいたくて、でも
上手く言葉に出来ないことがあった
私は
口の上手いほうではないから
確信が形になるまで
待ち続けてきた
だが
今の時代はあまりにもひどい
薄っぺらく
すべてはイメージで
判断される
まずは
マンハッタンを
陥落しよう
その次は
ベルリンだ
あんたのファッションみたいな思想が
いやだよ、兄貴
ついでに、
姉貴が飲んでいる、その痩せられるとかいうお手軽な薬もね
かつての
沈黙の重みは
どこへ消えてしまったんだ
みんな着飾ったふりをして
本当は
物乞いのように
流行の列に
情けなく
並んでいるだけ
私だって
そうなりかけたさ
でも、
今はもう
嘘っぱちだと
確信している
まずは
マンハッタンを
陥落しよう
その次は
ベルリンだ
（ファースト･ウィ･テイク･マンハッタン）