あなたの頭の中の悲しみが
やがて悲しみの姿を
とらなくなって
たとえばただの動物の獣
たとえばただの
消費された電燈になったとき
あなたはどんな想いを
抱くだろうか?
あなたが若かった頃
駅構内で
唇をかんだ
あの悲しみ
あの悔しさと今
あなたを捕らえている悲しさ
について
あなたは
いかなる相対性を
論じることが出来る
だろうか
/
白い城に雪が降る
やっと壁が
ゆらめきはじめる
/
あなたの頭の中の悲しみが
やがて悲しみのそのものを
模倣しだして
不可思議な音階が徐々に
整理されていったら
音の長い階段が
あなたの足元でぐらつくだろうか
固まったはずの足元の
この土の泥のやわらかさ
吸収率の高さ!
そんな折には
予期されない定住者が
銀のフェンスを越えて
そこに来るだろうか
/
あなたはそれに向かい
口を開く
開かれた口は
言葉を護るだろうか