葬儀も終わり、やっと夜である。
思うところは、たくさんある。
でも、多くは、語るまい。
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初めての、喪主体験で、お骨を拾い、なんともいえない気持ちになった。
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祖父と仲が良かった内田さんが、祖父のお櫃に入れる背広を選んでくれた。
そのネクタイが、偶然にも、大学生のころ、僕が祖父にプレゼントしたネクタイだった。
その偶然に、涙がこぼれる。
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霊柩車の、窓から見えた車。
祖父が入院していた、病院の車だった。
また偶然に、涙がこぼれる。
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父が家にいない環境で育ったので、祖父が父代わりでもありました。
ずいぶん迷惑をかけたなぁ、と。
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思い出すのは、大学生の頃、NHK放送コンテストに出すために撮った短編に出演してもらったこと。
酔っ払って帰ってくるどら息子を叱るおじいさんの役。
でも、音声取りに参加してくれなくて、困ったっけなぁ。(笑)
ちなみにその短編は、『ブラック』の部分の入れ方を間違えてNHKに送ったので、そもそも規定外ということで審査対象になりませんでした。(笑)
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もうひとつ、よく覚えているのは、尾道と道後に二人で旅行に行ったことだ。
祖父は、旅館でやたらと尊大な態度を女将に対してとって、僕は恥ずかしくなって、「やめてくれ!」と怒鳴った。
で、喧嘩になったんだよねぇ。(笑)
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あとは、中学生ぐらいの頃、よく反抗してめちゃくちゃ言ったなぁ。(笑)
政治を志して、やっとじぃさんの苦労が身に沁みた。
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私から見たじぃさんは、「我慢強い人」やなぁ。
自分を押し殺す人。
態度はでかいけど、すごく気弱だ。
情にもろい。
本当は、冗談だって言える人だったんだと思う。
冗談が好きだったんじゃないだろうか。
でも、じっと我慢して、口を閉じているうちに、冗談の言い方を忘れてしまったんじゃなかろうか。
そんな、悲しい人に見えたよ。
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さようなら。
さようなら。
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うじうじした、薄暗いものは、だから、逆に似合わない。
そう思って、昨日の夜は、ずっと、楽しいロックンロール、エルヴィスを聴いていたよ。
じぃさんは、「騒々しい!」と怒るかもしれないが、なんだか、似合うような気がしたんだ。
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ありがとうと、すまんかったねと、助けてよ、と。
そんな言葉が、出てくるよ。
ありがとうじぃさん。
迷惑をかけすぎてすまんかったね。
これからも見守っておくれよ。