原口さんが民主党Aとか民主党Bとか言っているのを見ていたら、なんだか嘆かわしい気分になってきた。
別にどっちが正しい、とか俺は言いたいわけじゃないんだよ。
その言い方がどうにも、卑怯だと思うんだ。
原口さんは、細かい理由を挙げずに、自分たちは正義だととにかく言っている。
それっておかしくない?
口で自分は正義だといった人は正義になるの?と思っちゃう。
最近の政治は、一方的に相手を「悪い」(あるいは自分は正しい)と言い続けることで、国民に刷り込みをさせることにばかり終始している。
議論をするではなくて、相手をなじりあう、先にたくさんなじったほうが勝ち、ただのイメージングの世界じゃないか。
もう民主党なんて、いっそ解体しちゃえよ。
国民に向かってまともにいちから会話しろ。
民主党に限らないことだ。
最近の政治家の言葉は、いい歳をした大人の言葉ではない。
今の世の中は、狂言天国だ。
狂言だけが跋扈して、右にも左にも、体を裂いて血のかわりにあふれてくるというような言葉は見当たらない。
哲学者の吉本隆明は、むかし、沈黙にこそ真実がある、と言った。
これは、今のこの状況は、人々が沈黙を愛さなくなったからなんだ。
沈黙というベールに隠れている本当の声を、聴き取る耳を、捨ててしまったからなんだ。
目を切り取ったら目は、めめしいといって泣くよ。
耳を切り取ったら耳は、みみしぃといって泣くよ。
口を切ったら口は、口惜しいといって泣くよ。
聴こえない声を聞く繊細さを、今の社会は、忘れてる。
※
言ったもの勝ちの世の中ってのは、昔から、変わらないのかもしれないけどね。
この文章を書いていてふと、ディヴ・ヴァン・ロンクのことを思い出したよ。
ディヴは、1960年代ぐらいからやっていたフォーク歌手で、トラディショナルの「朝日の当たる家」のアレンジをした人なんだ。
でも、ボブ・ディランがその歌を歌ったら、どこに行ってディヴが歌っても「あぁ、ディランのカヴァーだね」と言われるようになっちゃった。
アニマルズがヒットさせたら今度は「あぁ、アニマルズのカヴァーかい?」と言われちゃう。
ディヴは、「違うぜ、最初にこの歌を取り上げたのは俺だぜ」と言っても、ちっとも信じてもらえなかったらしい。
世の中ってのは、そういうものなんだよね。
悲しいね。