はっとり浩之オフィシャルブログ

2013年3月9日

遠い汽笛を聞いてみな

カテゴリー: 未分類 — hattori @ 1:33 AM

日本語でよく「ホイッスル」っていうけど、外国人が歌ってるの聴くと「ウィスル」って聞こえるよね。
「ウィスル・ブロウィン」って聞くだけで胸がギュっとするのって俺だけか?
淋しい荒野を突き抜けていく鉄の塊の汽車が見えるぜ。
煙を吐き出して、遠くへ行くんだ……。

電車に乗っていたら、「喜連瓜破」について話している見知らぬ男女に遭遇。
喜連瓜破の話なんて、珍しいねぇと思った。
俺、喜連瓜破には、ちょっとした苦い思い出があるんだ。

俺が中学1年生だったころ、学校で財布を盗まれたことがあった。
食堂で食べる昼食代が入っていたので、俺が大慌てで探していると、級友のA(仮名)が「俺、犯人見たぜ」と言ってきた。
Aはスポーツ万能のさわやかな奴だった。
「まじかよ、誰だよ?」
「あの、鼻につく秀才君のB(仮名)さ」
「え、Bが?」
「そうそう。あぁいう、普段真面目ぶってるお堅い奴ほど、悪いことするんだよ、きっと」
おれは、なるほどと思って、Bを探しに行った。
トイレでしょんべんをしているところを見つけ出して
「このやろぉ、俺の財布を取りやがったらしいな」
と怒鳴りつける。
Bは戸惑った様子で何も答えないし動かない。
よくよく考えたらしょんべん中なので、当たり前だが。
俺は「しらばっくれやがって、この屑野郎!」と、Bに殴り掛かる。
しょんべん中でろくに抵抗できない相手をボコボコに殴った。
俺はすっかりと、悪を成敗した正義の気分だった。

しかし、実はBは財布を盗んでいなかった。
それどころか、財布を盗んだのは、「Bが盗んだ」と俺に告げ口をしたさわやかスポーツ少年のAだったらしい。
俺がBを殴り、かけつけた教師に羽交い絞めにされ、ことが拡大化するにつれて怖くなったのか、犯人は自分だと教師に告白したらしい。
Bは単なるなぐられ損。
俺は、抵抗できないしょんべん中のBを殴ったという卑怯さを激しくとがめられ、数日間の停学になり、Bの家に謝罪に行くことになった。

そのBの家があったのが、喜連瓜破なのである。
中学一年生だったそのころ、せいぜい天王寺までしか行ったことのない俺にとって、谷町線の最果て近くの喜連瓜破は、まるで地の果てのように感じられた。
これから、見知らぬ親に「息子さんを勘違いして殴りました。すいません」と謝り、こっぴどく怒鳴りつけられることを想像しながら、地下鉄に乗っている間、ひどく心細かったことを覚えている。

そんなわけで、喜連瓜破と聞くと、当時の事件を思い出す。
あの事件以来、俺は、「他人の話をうのみにしない」ということと、「過剰な扇動者の言葉には気をつけろ」ということを、心にとめている。
しょんべん中の相手を後ろから殴ってはならないということも、心にとめている。

ちなみに、僕が謝罪に行ったら、B君の親は意外に優しかった。
不機嫌そうな顔ではあったが、そんなに怒鳴ったり、僕をしばいたりはせず、許してくれたのであった。

いまさらながら、感謝。

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