はっとり浩之オフィシャルブログ

2012年3月10日

光に目もくらみ(甲斐礼子議員の懲罰動議が起こった経緯)

カテゴリー: 未分類 — hattori @ 10:39 AM

守口市議会議員の服部です。

昨日、同じ守口市議会議員の甲斐礼子さんに懲罰動議が提出されました。

経緯はこうです。

1、代表質問中に質問通告書にない質問をした

2、質問通告書に書いていない質問は規則上認められないので、議長は質問を静止した

3、甲斐議員は、「9月の議会でA議員も通告外の質問をしたじゃないか」という旨のを反論した

4、そこで調査(会議録を調べた)をすると、甲斐議員が指摘したA議員は、通告書内の質問しかしていなかった

5、すると今度は、「間違いだった。B議員が通告外の質問をしたかもしれない」という旨に反論の中身が変化した

6、この反論も否定されると、「道徳教育についての質問をしたあとなので、国旗について追加の質問をしてもいいだろう」という旨にさらに反論の理由が変化した

7、あまりにも理由がころころ変わるので、その主張は認められがたいと委員会室で数人の議員から意見が出た

8、すると、江端議員・甲斐議員・竹内議員により、津島議長に対する不信任案が提出された。甲斐議員の質問を諌めたので政治家としての資質に欠けるという旨の理由。

9、唐突な不信任案だったし、議長は会議規則にのっとって忠告をしただけだったので、この不信任案は否決された

10、そのあと、議長から、甲斐議員に向かって、通告書にない質問事項の取り下げの旨の要求がなされた

11、通告書にない質問をするという会議規則に反した行動をし、忠告を受けたにも関わらず聞かず、およそ17時間ほど会議が止まってしまったので、その責任を追及され、甲斐議員に対して懲罰動議が提案された。最終的に懲罰の内容は、議場における陳謝であった。

さて、ここで重要な論点を整理したい。

・懲罰は、「会議規則に反する行動をとったから課せられようとしている」

・これに対し甲斐議員は「国を愛する質問をして何が悪いのか?」という旨の反論している

・この反論はおかしい。なぜなら、「規則にのっとらず質問したから批判されている」わけであって、「質問が愛国的だから批判されているわけではない」からである

・でないと、それこそ、「国を愛しているから、愛国的でない人間を殺しました。これは殺人罪じゃありません」という論にまで発展してしまう

・あくまで、会議の規則で、事前に質問通告書に質問内容を書いておかねばならないという規則があって、それに反しているから批判されているだけである

・そもそも、そんなに聴きたい内容だったのなら、追加や関連として質問せず、まっさきに通告書に明記しておけばよかったのではないだろうか

・さらに、甲斐議員は、「純粋な気持ちでした質問だった。悪意はない。本当に教育長の答えが聞きたかった」という旨を述べている

・しかし、純粋な気持ちだからルールを破っていいということにはならない。それは世間の常識だし、純粋な気持ちがあればルールを破っていいのなら、社会からルールというものの重要性が消えてしまう

・私個人としては、甲斐さんに悪意があったとは一切思わない。国旗は重要な質問だし、規則にのっとっていれば、大いにやってほしかった。ただ、規則にのっとらなかったことが問題なだけである。規則に反してしまった以上、次の機会に訊くしかないのではないだろうか

・また、私個人としては、懲罰まで広がるような問題ではなかったはずだ、と強く思う。次から次へと違う反論をしたり、それで長時間会議が止まってしまったり、議長に対する不信任案を出したりまでする必要があったのだろうか。規則を重んじて、委員会で質問をすることにすれば、すんなりとそれで終わったのではないのだろうか

・また、津島議長に対する不信任案の文章にも、気になる部分があった。その文章には「人間性を疑う」という旨の記述があった。規則通りに差配しただけの議長に対して、人間性の問題まで書き及ぶのは、さすがにひどいのではないだろうか。道徳教育を重んじるのなら、そのような「きつい言葉」を他人に対して持ち出してほしくなかった

・国旗・国家は重要である。何時間でも議論すればいいい。だから、代表質問でぽんとしつもんするのではなく、もっと重く、「国旗国歌委員会」のようなものを作って、委員会で綿密に議論する方が、よほど議論が深まるのではないだろうか

・また、私は、彼女の国旗に対する思いは本物であると思うが、いろいろな意見の中には「じゃぁ最初から愛国心について反論すればいいのに、なぜ、A議員も追加質問したじゃないか、という反論をしたのか。これでは、他人もやったから自分もやっていいだろう?と言っているだけじゃないか」という批判もある

・また、竹内議員から『A議員は議会中に後ろの席の議員から「こうしろ」と指図を受けていたように見えた』という旨の甲斐議員を擁護する発言があったが、事実は、市長の発言録の資料を後ろの席の議員に渡してもらっただけであったことが判明し、これも推測による勘違いだったことが分かった。ほかに、津島議長に対する不信任案の文面に、津島議長が実際には言っていない言葉が勝手に付け加えられていたことが判明したりと、こういった事例から、擁護論は推測でものを言いすぎだという批判も出ている。

・いずれにせよ、こんなに揉めることじゃないじゃないか、と私は思う

・私だって、今回、7番目に代表質問がある。訊きたいことはいっぱいあったが、通告書の締め切りの期日があるので、あとから思いついた訊きたいことは、悔しいなぁと思いながらも排除した。これは仕方のないことだ。

・さて、今回最大の問題は、私は、「道徳教育について」質問して「道徳教育と関連しているから、国旗について追加質問していいかどうか」だと思う

・個人的な見解のレベルでは、昨日も書いたが、関連しているといいたくもなる。集合知に含まれている。

・しかし、大きな問題が一つある。それは、「道徳教育という概念が、広すぎる」ということである。

・あまりにも広すぎる概念を適用すると、後からなんでも追加で質問できるようになる。例えば、「道徳教育について」に関連して何でも訊いていいのであれば、「しつけ」「体罰」「学生の喫煙問題」「路上駐車」「いじめ」……と、なんでもどんどん訊くことができる。それでは、会議が混乱してしまうので、事前に、「道徳教育について 1、国旗について 2、いじめについて 3、体罰について お尋ねします」というように、ある程度細分化して通告書を書くのが普通ではないだろうか

・そう考えると、細かい追加は、あとの委員会でどんどん訊けばいいわけだし、代表質問においては、あくまできっちりと書いたことをきくというのも、うなづける

・だからこそ、よく、代表質問の後に、「市長のご答弁ありがとうございます。まだまだ不十分な部分がございますので、各委員会で、さらに専門的に精査させていただきたいと思います」と言うのではなかろうか。

・だからまぁ、今回の件に関しては、もっとちゃんと常識的に引くべきところを踏まえていれば、津島さんに対する不信任案だって出す必要なかったと思うし、甲斐さんにたいする懲罰だって提案する必要がなかっただろうな、と思う

・ルールというのは、無意味に作られているものばかりではないはずなので、ルールと想いの二つのレールの上を、うまく列車が走っていくようにしていきたいものである

4件のコメント

  1. 初書き込みです。

    いつも、ブログ拝見させてもらってます。
    市内在住の小役人です。

    先生、はじめまして!
    今の議会の状態をニュートラルでかつ分かり易く解説頂きありがとうございます。
    以前、コメント書かれていた時(真崎側だ、ああだこうだの時)は、かなり焦ってらしたかのような(与党野党と言われ)、
    文章が散見できましたが、今回のブログは客観的にかつ冷静に分析されておるように感じました。

    懲罰委員会のときに、竹内議員に肩をたたきにいかれたそうですね。それを年配の議員は「何やっとんねん!」と注意したとか。
    先生はただ単に、ドンマイ的なニュアンスで肩をたたきにいかれたと推察されるんですが、、、。
    そんな行動も許されないほど、与党(敵)VS野党(味方) という構図が成り立ってるんでしょうか?
    お忙しいと思いますので、お手が空きましたら解説頂けたらうれしいです。

    コメント by ザ・小役人 — 2012年3月11日 @ 9:41 PM

  2. 書き込みありがとうございます。
    いつもお疲れ様です。

    お褒めいただけてうれしいです。

    委員会の暫時休憩中のことについて書きます。
    肩をたたきに行ったというか、甲斐さんの発言のどの部分について論じているかで、委員会に出ているほかの議員さんと竹内議員とで、論じている部分にずれがでてきた場面があったんです。
    それで、「再質問のここの部分やで」と言おうと思っただけです。

    僕が怒られたのはそれはそれで仕方ないと思っていますよ。
    議会の場は厳粛ですから、勝手に立ち上がったら、怒られるのは当然です。
    これは勝手に立ち上がった僕に非があります。

    僕はむしろ、与党VS野党という構図が強くないからこそ、野党の僕を野党の議員が叱るという出来事が起こったんじゃないのかと思うんですが……。
    だって僕に注意した議員さんからしたら、僕が竹内議員にアドヴァイスしようとしたかどうかなんてわからないわけです。
    僕がもしかしたら、野次を飛ばそうとしたと思って叱ったのかもしれないし、そう勘違いをした可能性だって大いにあり得ると思います。

    ちなみに、野党と与党が仲が良すぎると、議会の腐敗の原因になると思います。
    野党同士が仲が良すぎるのも、良くないことだと思います。
    しかし、与党野党関わらず、腐敗しない程度の意思疎通ができる状態にあることは必要です。
    でないと、毎日ただの喧嘩になります。

    私の見ている限りでは、与党と野党の対立はそこまで激しくないと思います。
    なぜなら、懲罰委員会が始まるまで、数時間に及ぶ長い暫時休憩があったからです。
    それは、要するに「懲罰にならないように与党内でよく協議をしてほしい」というニュアンスが込められていたのだと思います。
    本当の喧嘩状態の議会なら、即刻懲罰を言い渡すかもしれません。
    僕は、そんな議会にはなってほしくないし、そもそも懲罰なんて無い議会の状態が望ましいと思っています。
    喧嘩して得することなんてありません。
    それは、何人かの野党の議員も、同じ気持ちだったと思います。
    実際、「あとの委員会で、国旗については意見を言えるよ」と与党にアドヴァイスした人も野党の中にいたはずです。
    僕は、廊下で、「こんなことじゃなくて、もっと政策論を議論したい」と愚痴っている野党の議員さんを何人も見ています。
    野党の中にも、一人ひとりの人格があります。
    全員で一つの集合体というふうには受け取ってほしくないと思っています。
    誰がどこまでどういう気持ちでいるかは、知る由もありませんが、そんなに好戦的だとは思えません。

    コメント by hattori — 2012年3月13日 @ 1:00 AM

  3. はじめまして、たまにブログを見させていただいてます。解りやすく、冷静な立場からの説明をありがとうございます。このながれを見ていると何度か立ち止まってじっくり考える場面が、必要であったのではと思います。そういう所から残念だと思います。
    今後も市民のため頑張って下さいね。

    コメント by かじゃーじゃ ぐらぐら — 2012年4月1日 @ 12:02 PM

  4. ありがとうございます!
    最近忙しくて、返事が遅くなってしまいました。
    議会中、何度も暫時休憩が入って、冷静に考える時間はあったはずなんですよ。
    でも、延々と平行線でした。
    これは、「議会や社会のルールをどのレベルまで重んじるか」の認識の違いが出たせいだと思います。
    いま、社会システムがこの国全体で不安定になってきています。
    だから、「ぶち壊せ」という論が出てくるし、その気持ちもよくわかる。
    面倒なものはぶっ壊しちまえってわけです。
    でも僕は、「そんなに単純でいいのかね?」とも思います。
    それで本当にいいの?と。
    自民党がぶっ壊れて、民主党になって、世の中がもっと不安定になった。
    大きい単位ですらそうなのに、地方の議会規律という、最小の単位すら破壊してしまったら、世の中どうなるのだろう、と。
    システムを変えるならかえるで、しっかりと議論と整備をするべきで、むやみやたらと好き放題するのは、ぜんぜん利益を生まないと思うのです。
    そういうことを、冷静に考えられたら一番いいんですけどね。

    コメント by hattori — 2012年4月6日 @ 1:04 AM

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