はっとり浩之オフィシャルブログ

2013年11月4日

守口市戦没者追悼式

カテゴリー: 未分類 — hattori @ 12:57 AM

忙しくて、戦没者追悼式に参加させていただいたことを日記に書いていませんでした。
もう、数週間前になるのでしょうか。

僕の20代前半は、本当に、戦争のことを考えて考えて考えて過ごしているような側面がありました。
戦争で人が死んだという事実、戦争が始まるとだれも抵抗できないという無力感と恐怖。
そういうオブセッションが、強く自分の心の中にありました。
戦争についてのポエムを、たくさんたくさん書いた時期もありました。
大江健三郎の小説「個人的な体験」に出てくる、菊彦君(漢字あってる?)のセリフ「だって、戦争が怖かったんだよ」に深く共感したものでした。
大きいものに押しやられて、個人がどこまでも無力になっていく、そんな恐怖が、根源的に僕のどこかにあったのだと思います。

昔たくさん書いた、戦争についての詩のうち、今でも自分で気に入っているものを、三つ、載せます。
うまい下手の問題ではなく、ひどく、シリアスで、息苦しくて、若さがあふれています。
もう、何年も前に書いたものです。
今の僕には、こんなに激しい怒りを、文字にして抽象的に描く気力はないと思います。


『戦争だって、にんげんだ』

けだものばかりではないのだ

けだものにもけだものの
規則というものがあるので
卑下することはできないが
それでも少年には疑問だった

戦争は
どこにあるのだろうか。

本をたくさん読み
股間で気持ちよくなることを覚え
夜にはテントの中に隠れることを学んできたけど

どうにも不安で
仕方がないのだ

コーンフレークに
牛乳をかけて
口にはこぶ時
銀色のスプーンについている
悲しみがないかどうかを手探りで探り当ててしまう

どこか違う記憶に
隠されていた涙が
どうにかして助けを借りて
這い出したいと思っていることと、

本筋や
決められた黄色い色の範囲図の中には
発掘されないところから
泣いている声を
聞き取ってしまえる耳に
生んでもらったから

矛盾だけを
口に放り込んでしまいたいと、
そんな自慰行為を
止められないのだ

少年は、

今あるものをすべて丸くこねて
粘土細工で
対抗しようとした

空気感染を
経路にした教師たちが
少年の首筋に
ナイフを立てて笑った

ガキ大将は
それを見てチビりながらも
少年を助けようとして
勇気のある体当たりをかました

惚けていく、
じかんたち
きのこのような
生物と
黄な粉のような
頼りない砂……

『戦争だって、にんげんだ!』

校内放送が高らかに
宣言をしたとき
少年はその後ろに流れている
「恋はみずいろ」を聞いていた

流れる水ははかなくて
何も知らないふりをしているので

いつかステンレススチールの箱をこさえて
そこに閉じ込めてやろうと

心に誓った

『戦争/戦争/戦争』

やっぱり戦争は
起こらなかった

歌いつくした歌手の
少し疲れた喉が
歌を歌っている

午前3時を過ぎた頃
すっかりと時代は
変わってしまった

アスファルトが
材質を取替えられ
真新しい黒さに
恥ずかしそうにしている

歌いたい歌を
歌えた頃を
とおおおく
とおおおく

置き去りにしていく

やっぱり

戦争は起こらなかった

そんなところに
ミサイルは落ちなかった

そんな海に
波は立たなかった

むしろ
不自然な
大人びはじめた
14歳の少年たちの
ピンク色の肉体のほうが

おっ立っていた

直立
不動

ピンク色の柔らかさが
うらやましくてたまらない大人たちは

嘘ばかり書きたてた

「つぼみみたいな僕を許してくれ」

修辞に気を使い

分厚い本と一緒に
俗的なものを

パッケージングして

敢えてそれを

低⇔高の基準にしていた

美化ばかりされた世の中

カスタマイズすれば

それで煙が立たぬと

思ってやがるな

14歳にもなれば

少年も少女も一緒に

成長をろ過しはじめる

心と体が

いっしょにピンク色になって
細胞がうきうきと
弾み始める

少女たちの
陰険さを
少年たちはまだ知らない

少年たちの
いじらしさを
少女たちは
予測している

あんなのかな

こんなのかな

惨憺たる

状況だな

第一次報告です

あっちの小隊は

全滅です

小銃に刻印は

ありましたか?

ありました

なんて書いてましたか

「イハの67です」

はいはい

左様で

格好良いことを

格好悪いと

いえる勇気がほしいな

僕の14歳は

どこかにとどまって

狂って消えちゃった

ありがちな

言葉ばかり続けすぎたな

少年たち

少女たち

今日
教室で絵を描いた

みんな一斉に
ピンク色の小さい手で

戦争
戦争


画用紙に書いた

戦争


先生がもう一つ
書き足した

戦争は
三つよりそって
まるで温かい家庭だ

そこには
戦死は
何一つなく

反戦は意識を高揚させ
顔色を変えたまま
硬直していた

やっぱり戦争は
起こらなかった
そんなことは
ありえなかったと
口に出したのは
反戦だった

反戦は
トイレにおびき出され
頬がはれるほど
殴られた

青こぶをつくり
涙を流し
それでもまだ同じことを
口にして

そのうちに消えていった

お呼びでない冷たさに
耐えられない様子で

ところで
寄り添っていた
3つの戦争は

寄り添いあうことで
家庭の
暖かさを
獲得した

父親である戦争が言った

「いいか、生き延びるために、争いはするな」

子供である戦争は

まだ柔らかく

意味を獲得しない
細胞であったので

呼吸のようにそれを

吸い込み続けた

『みんな、おしまい。』

中途半端な気持ちで
ハウ・ドゥー・ユー・フィール?
と問えば
こぶしがかえってきた

涙が流れ出る夏
涙があふれる夏

みんなからだがおかしい
脳のどこかもおかしい

情けない

炎天下
灼熱の炎を
鵜呑みにした
みんな目をつぶって
ごくんとやってる
ごっくん
ごっくん
おいしいなぁと
つぶやいた人から順番に
体が粉々になる
飛び散って、
おしまい
その粉があたった人も
おしまいになる

みんな、
おしまい
銭銭銭

あーあ
欠伸をした
目じりに涙
たまった
なんか
嫌になった
疲れが
たまってきた
球状の皮膚が
ぶら下がっているのが見えた
ここは
喫茶店
汗がじゃんじゃん流れる
ごしごし
みんな
流れ出るもの
吹き出るものを

それが汚いものであるかのように

ふき取る

えいやさぁ
えいやさぁ

ごしごし

うかつだった
笑ってしまった
笑いを隠すために
談話を一つした

ねぇ、O君
君は知ってるかい
ここの喫茶店、農園って名前じゃないか

うなづくO君

前は田園だったんだぜ
何で名前が変わったか、知ってる?

くびをふる、O君

特別に教えてやるよ、
あのな、
ここでいっぺん
蚊が大量発生したことがあってな
マスターの奥さんが
蚊に刺されて
日本脳炎になったんだ
それでしんじまったんだ
だから、それ以来、
喫茶店の看板を付け替えて、
農園
さすがに「脳炎」
じゃ
まずいからな
田園→農園
そんな意味が
隠されていたわけよ

笑う僕
マスターがやって来て

ごつい
こぶしを
食らわした

ぐわぁん

ちょっと
ちょっと

許してくれよ
疲れてるんだ

皮膚はまだ柔らかい
おっぱいよりも
柔らかい

吸い出してくれよ
あいつらみたいに

悪いものを

ヘンなところだな
ここは
この辺の
名前は何だ?

※※※

スタンガンみたい
短い電流が
走る

夏はまるで
外科医だ
メスを持って
人間の腹を切り裂く

季節だから
しょうがないんだ

僕は小さく丸まり
突入していく

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